なぜ自由診療(保険外診療)なのか?

2021年05月28日

【札幌歯科】は、完全自由診療(保険外診療)の歯科医院です。

患者さんからは「なぜ自由診療なのでしょうか?」という質問をいただきます。結論から申しますと「より良い歯科医療を提供したい」からです。しかし、これだけでは完全には理解していただけないだろうと思います。

我が国の医療水準が高いというイメージもあり、なんとなく「保険の範囲内でできる治療であれば保険診療でやってくれた方が良いのではないか?」と感じていらっしゃる方も多いでしょう。しかし実のところ、個々のケースに対して「最善の」治療を行う、あるいは予防として万全の処置を行うとなると、保険という制度では困難なのです。

 

保険診療は、あくまでも最低限の治療を行うもの

 

かかった医療費のうち、3割の負担で治療を受けることができる歯科保険制度が始まったのは1961年(昭和36年)のことです。このころの日本は第2次世界大戦の敗戦からようやく立ち直ろうとした時期で、復興に向けて多くの国民は働くことに夢中で、衛生や予防に対する考え方は発想すらない時代でした。しかし食糧事情がよくなってきたことで、多くの人がむし歯による痛みに悩まされ、政府はやむなく歯科保健を導入しました。また同年、公的医療保険制度(国民皆保険制度)が施行され、貧富の差がなく、すべての国民が平等に医療を受けられるようになりました。今の保険制度はこのときの事情を反映したものなのです。

現在、私たちが風邪を引いたり、高熱が出たりしても、お金の心配をすることなく病院にかかることができるという点では、ありがたい制度です。

しかしながら、保険診療の基本となる考えは、あくまでも「疾患に対して最低限の治療を行う」というもの。保険診療では、治療法や使用できる機器・材料に限りがあります。様々な制約があるため、原則として予防処置はできませんし、不確定要素の高い診療行為は認められません

 

保険診療による歯科治療の限界

 

もう一つの問題は、保険診療では患者様一人一人に十分な説明の時間を設けること、治療に対する希望や不安をよく聞いて治療のゴールをきちんと共有することなどが難しい状況が生まれているという点です。

保険診療で使用できる詰め物・かぶせ物は自由診療に比べ精度が低くなることが多く、その隙間で虫歯菌が増殖してしまうこと(二次虫歯)が問題になっています。つまり、保険診療によって新たな疾患が引き起こされる(医原性疾患の原因となる)恐れがあるのです。

また、保険診療は報酬が低いため、保険診療によって歯科医院を経営するためには、一定時間内にできるだけ多くの治療をこなす必要が生じます。

なお、この報酬(点数)は歯科医師の技術ではなく処置内容によって決められています。「最善の治療」も「”及第点”な治療」も「歯科医1年目の治療」も「専門医の治療」も、処置内容が同じならば同じ点数(同じ報酬)です。

今回の政府のコロナ対策等で多くの国民が行政とのギャップを感じられたと思いますが、歯科界ではもっと以前からで、この診療報酬(点数)に関しても、歯科治療の事をほとんど知らない方々が決めているのです。現在、自粛要請に協力して感じている「真面目な人ほどバカをみる」のが歯科界の保険診療でそれをずっと続けてきたのです。

 

結果として多くの歯科医院で、時間をかけ、器材にもこだわった、高い技術レベルの歯科治療をご提供することは難しくなっています。こうした状況は、患者様にとっても歯科医院にとっても無益です。

保険診療を行わない選択は、全ての患者さんの理解を得るのは非常に難しいことだと思います。また、歯科医院側としても経営面では大きなリスクを伴います。しかし、私は、目の前の患者さんに対して誠心誠意向き合い、妥協することなく責任を持った治療を全力で提供したい。そんな医療人としての原点に立ち戻り、制約の多い保険診療に束縛されることのない真の歯科診療を提供したいと考え完全自由診療を選択しました。

 

日本歯周病学会 認定医
日本歯内療法学会 専門医
日本歯科保存学会 認定医
アメリカインプラント学会 認定医
ジャパンオーラルヘルス学会 予防歯科認定医

米国ロマリンダ大学インプラント科 卒業
北海道医療大学 歯学部 歯周歯内治療学分野 非常勤講師
歯学博士

札幌歯科 坂本渉