ホワイトニングの安全性と危険性

2021年03月10日

🦷歯を白くするホワイトニングの治療では、専用の薬剤を用いて歯の着色汚れなどを分解しますが、強い薬剤を用いる施術に危険性がないか心配に思う方もいるでしょう。

日本の歯科医院で扱われる薬剤は、使用法を守って施術をおこなう限り、
基本的には安全なものです。

まずは、安全性について説明します。

 

🦷ホワイトニング剤の主成分は過酸化水素

ホワイトニングは大きく分けると、歯医者さんで行うオフィスホワイトニングと自宅で行うホームホワイトニングの2つがあります。それらで使用されるホワイトニング剤は、過酸化水素や過酸化尿素が含まれるものが一般的です。

消毒用のオキシドールと含まれる成分が同じなので安全に思われがちですが、不用意に口の中に入れると火傷をしてしまう恐れがあります。過酸化尿素は酸化反応をする際に過酸化水素に変化します。

 

🦷オフィスホワイトニングで使われる薬剤の濃度

オフィスホワイトニングで扱う薬剤の多くは、過酸化水素の濃度がおよそ35%以下のものです。安全と言っても皮膚につくと炎症を起こしてしまうこともあるため、歯科医師は歯以外の部分に薬剤が触れないよう注意を払って施術をします。

 

🦷ホームホワイトニングで使われる薬剤の濃度

ホームホワイトニングの薬剤としては、過酸化尿素を成分としているものが一般的です。過酸化尿素は、使用時に過酸化水素に分解されるので、漂白する主成分としてはオフィスホワイトニングと同じものです。

濃度の目安としては、過酸化水素に換算すると10%~21%程度となります。

 

🦷オフィスホワイトニングでは唇や歯茎の保護が必要

オフィスホワイトニングで扱う薬剤は用法・用量を守って正しく使用すれば危険性は少ないですが、唇や歯茎に付着するとただれてしまうこともあるので、薬剤が歯以外の部分に付着しないよう、施術前に保護をおこないます。

また、ホームホワイトニングでも、マウストレーにホワイトニング剤を塗布して、自分でトレーを装着しますが、トレーからはみ出して歯茎に付着した薬剤は拭き取るようにしましょう。

 

🦷ホワイトニングを控えた方が良いケースとは?

過酸化水素を成分としたホワイトニング剤は、前述したものを使用すれば、基本的には安全ですが、それは、あくまで歯の健康状態が良く、ホワイトニングができる条件をクリアしている場合のみです。

下記のような方は、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングどちらの場合でも、ホワイトニングを控えたほうが良いケースです。

🦷知覚過敏、虫歯、歯周病、ヒビのある歯

このような歯の状態でホワイトニングすると、薬剤がしみたり痛みが生じたりする危険があるので、治療して歯の健康を取り戻してから、ホワイトニングを行うことが無難です。

🦷まだ歯の形成が終了していないお子さん

永久歯への生え替わりが完了していなかったり、まだ永久歯が成長途中にあったりするお子さんの場合、歯の成長を妨げるなどの理由から一般的なホワイトニングの薬剤では対応ができません。どうしても気になるという場合には、子どものホワイトニングに対応している歯科医院もあるので、相談してみるのもいいでしょう。

🦷妊娠や授乳中の期間

ホワイトニング薬剤による、具体的な悪影響は報告されていませんが、安全性も証明されていないので、控えた方が無難です。

🦷無カタラーゼ症

過酸化水素の分解ができない体質が、無カタラーゼ症です。口腔壊死などを引き起こす恐れがあります。
わからない時には事前に歯医者さんで診断をしてもらうのがいいでしょう。

🦷光過敏症

オフィスホワイトニングでは、薬剤の反応を促進するため、強い光を照射する方法を取ることが一般的です。
そのため、光過敏症(強い光の照射によって、皮膚に紅斑や水疱ができる疾患)の方は、光を照射しないタイプのホワイトニングを選ぶのが無難です。

 

~ホワイトニングの痛みについて~

🦷ホワイトニング後に歯が痛くなるのはなぜ?

オフィスホワイトニングなどで高濃度の薬剤による施術をおこなう場合、痛みを感じることがあります。これはエナメル質の下の象牙質まで薬剤が浸透して神経を刺激し、知覚過敏が起こるためです。

虫歯があったり、歯がひび割れていたり、詰め物や被せ物の治療箇所に隙間があったりすると、そこからホワイトニング剤が入り込むことで、より刺激を感じやすくなることもあります。

🦷ホワイトニング後の痛みはどれくらい続くの?

このような痛みはホワイトニングの薬剤によって一時的に出ているもので、個人差はありますが、基本的には一時的な症状で数時間~数日で収まるものです。

もし痛みがひどかったり、長く続いたりするようであれば歯医者さんに相談しましょう。

 

🦷まとめ

通常、正しい使い方をすれば、歯科医院で行うホワイトニング剤の安全性に問題はありません。

アメリカのFDAや、日本の厚生労働省に認められたものは、長年の大学研究や臨床データなどによって、
その安全性が立証されています。

誤った知識や自己流で行うホワイトニングの場合には、効果が立証されていないものや、
安全性に問題がある物もあります。

歯の色が気になったり、悩んでいる人は自己判断をせずに歯科医師へ相談しましょう♪

 

 

日本歯周病学会 認定医
日本歯内療法学会 専門医
日本歯科保存学会 認定医
アメリカインプラント学会 認定医
ジャパンオーラルヘルス学会 予防歯科認定医

米国ロマリンダ大学インプラント科 卒業
北海道医療大学 歯学部 歯周歯内治療学分野 非常勤講師
歯学博士

札幌歯科 坂本渉