インプラントは一生持つの?〜インプラントの寿命について〜

2021年03月03日

札幌歯科 院長  坂本 渉  Sho Sakamoto

歯学博士
米国ロマリンダ大学インプラント科卒業
北海道医療大学歯学部歯周歯内治療学分野非常勤講師

日本歯周病学会 認定医
日本歯内療法学会 専門医
日本歯科保存学会 認定医
アメリカインプラント学会 認定医
ジャパンオーラルヘルス学会 予防歯科認定医

🦷インプラント治療は、一度入れたら一生持つの?

よく聞かれる質問です‼︎

確かにインプラントの素材は、チタンまたはチタン合金で、腐食することも虫歯になることもありません。

被せるセラミックも腐食しません。

しかしインプラント自体が丈夫であっても、歯周病は天然の歯と同じ様にインプラントの周りの骨を溶かしていきます。

それによってぐらつきが起きたりして脱落してしまうことがあり得るのです。一般的にインプラント治療では、
10年の生存率は90%以上と言われています。

入れ歯(部分入れ歯を含む)の寿命は平均5年、ブリッジ(接着ブリッジ)は8~9年と言われているので、
入れ歯やブリッジと比較しても良好な結果となります。

ただ、いろいろな条件により変わりますので、一生長持ちする場合もあれば、あまり持たない場合もあります。

ではどんなことがインプラントの寿命に影響するのでしょうか…

 

🦷予防メンテナンスをしっかり行なっているか

歯周病菌は、インプラント・天然歯の敵 ‼︎

歯周病菌は、痛みもなくインプラントや天然歯(自分の歯)の周りの骨を溶かしていきます。

予防メンテナンスを行うことによって、インプラントだけでなく 天然歯も守ることに繋がります。

歯周病予防には、2つあり、1つが家庭で歯ブラシや歯間ブラシを用いて行うホームケア、いわゆる歯磨き(セルフケア)(ブラッシング)、プラークコントロールなどです。

あともう一つは歯科医院で歯科衛生士が行うプロフェッショナルケア(歯周病治療)です。

歯やインプラントの表面には歯石、歯垢(プラーク)、バイオフィルムなどが付着します。

これが歯周病を進行させてしまいますので、定期検診やメンテナンスの時に、お口の中全体の環境を清掃することで、
普段の歯磨きなどではとれない汚れや細菌、歯石を除去してキレイな状態を維持(歯周病コントロール)していければ、
骨吸収(骨が溶けること)を抑えてインプラントの寿命は延びて長持ちしやすくなります。

 

🦷歯科医師がきちんとした埋入を行なっているか

インプラントという治療法を長持ちさせる成功率を上げる要因として、事前に歯科用CTにて顎の骨量などを検査して、
きちんと治療計画(診療設計)を立てること、いわゆるインプラントの埋入ポジション(位置、角度、本数、インプラントの長さや太さの適切な選択)が大切になります。

他にも、インプラントを2本以上入れる場合の距離間、インプラントの周りの骨の必要量、足りなかった場合に骨を足すために使う材料など、いろいろな要件があるのです。

特に抜歯したと同時にインプラントを埋入する治療方法では、埋入ポジションが大切となります。

歯肉(歯茎)の厚さによっても、位置(特に深さ)を変えないといけません。

すべての要件を考慮した埋入ポジションにインプラントを入れるには、
手術する歯科医師の本物の経験や知識が必要となります。

 

🦷きちんとしたかみ合わせで噛ませているか

咬合(かみ合わせ)というものはとても重要であり、前歯だけとか奥歯のみではなく口の中全体がバランス良く咬めるようになることによって咬合力(かみ合わせの力)が上手く分散され、他の天然歯(自分の歯)も長持ちするので、天然歯だけに大きく負担が掛からないようにインプラントの歯でも咬ませることが重要です。

 

🦷まとめ

他にも、喫煙や歯ぎしりや食いしばりによる骨への負担、料金だけで歯医者を選ぶ…

インプラント治療を安く提供している歯医者は治療に必要なコストをカットしてしまっている可能性が高いんです。

以上のことを気を付けてもらえれば、インプラントの寿命(生存率)を延ばして、長く使ってもらえるかと思います。

しかしながら実際はどれほどの寿命だろうかと不安に思う方もいるかと思います。

インプラントの周りの骨が溶けてしまった、インプラントに付けた被せ物の破損、インプラントそのものが破折してしまったというトラブルも、全くないとも言えません。

そんな時、歯科医院(歯医者)によっては、きちんと予防メンテナンスに通ってもらうことを条件に、インプラントの10年保証を設けているところなどもありますので、万が一何かあった時のために、きちんとした保障制度がある歯医者選びをすることも長持ちさせる1つの方法かもしれません♪